事業を通じてサステナブルな社会の発展に貢献する
第一三共株式会社 常務執行役員 ヘッド オブ グローバル コーポレートストラテジー Chief Strategy Officer (CStO) 村上伸夫
取材実施日: 2025年4月15日
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Chapter 1
パーパス経営と価値創造
Chapter 2
「Patient Centricity」の考え方と取り組み
Chapter 3
「One DS Culture」の価値観・企業文化
Chapter 4
環境の取り組み
Chapter 5
ESG情報開示の方針
Chapter 6
ESG投資の拡大
Chapter 7
視聴者へのメッセージ
第一三共株式会社
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CO2 排出量の削減率(Scope 1+Scope 2)(2015年度比)2023年度実績

49.8%削減

CO2 排出量の削減率(Scope 1+Scope 2)(2015年度比)2025年度目標

42%減

エンハーツ上市国・地域数 2023年度実績

53か国・地域

エンハーツ提供患者数 2023年度実績

52,400人

エンゲージメントサーベイ肯定回答率「企業風土・職場環境」2023年度実績

79%

エンゲージメントサーベイ肯定回答率「企業風土・職場環境」2025年度目標

80%以上もしくは2021年度比10%向上

エンゲージメントサーベイ肯定回答率「育成・成長機会」2023年度実績

76%

エンゲージメントサーベイ肯定回答率「育成・成長機会」2025年度目標

80%以上もしくは2021年度比10%向上

女性上級幹部社員比率 2023年度実績

18.7%

女性上級幹部社員比率 2025年度目標

30%

会社紹介

第一三共株式会社は32の国・地域で展開し、世界に22の研究開発拠点、13の生産拠点を持つ、グローバルヘルスケア企業です。「世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献する」というパーパス(存在意義)のもと、革新的な医薬品の創出と医療ニーズへの対応を通じて社会に貢献しています。同社はミッションに「革新的医薬品を継続的に創出し、多様な医療ニーズに応える医薬品を提供する」ことを掲げ、2030年ビジョンとして「サステナブルな社会の発展に貢献する先進的グローバルヘルスケアカンパニー」の実現を目指しています。
この2030年ビジョンを具体的に進めるため、4つの目標を設定しています。具体的には、(1)がん領域における売上収益規模でグローバルトップ10を目指すこと、(2)既存領域に加えて新たな成長の柱となるビジネスを収益源として確立すること、(3)各事業ユニットにおいて新製品を軸とした収益構造を構築すること、(4)事業活動を通じてサステナブルな社会の発展に貢献することです。
これらの目標の達成を通じて、経済的価値と社会的価値を同時に創出する企業として、パーパスの実現を目指しています。

ESG/SDGs経営の取り組み方

第一三共は、患者さんのために何ができるかを常に考え、パーパスと経営戦略が一体となったパーパス経営を実践しています。サイエンス&テクノロジーを強みとし、患者さんと社会に貢献し、持続的に成果を再投資する循環型の価値創造モデルを構築しています。
また同社はグローバル共通の企業文化として「One DS Culture」の醸成を推進しています。シニアリーダーやカルチャーアンバサダーを中心に、各国・各部門の現場での実践を通じて着実に根づかせているものです。
また、毎年実施される従業員サーベイの結果は、文化醸成の進捗を可視化し、課題の特定と改善アクションの起点となっています。たとえば、2023年度のサーベイからは「経験や失敗から学ぶ機会の不足」が課題として浮かび上がり、それを受けて2024年度は「学ぶ文化の醸成」をテーマに掲げた取り組みを開始。具体的には、ラーニングレビューの導入や対話型のワークショップなど、社員が互いに学び合う仕組みが強化されています。
こうした取り組みの結果、エンゲージメントスコアは着実に向上しており、グローバルで一貫したメッセージとローカルな実行が循環する文化の土台が築かれつつあります。

環境課題に対する取り組み

「人々の健康を支える企業として、事業活動が環境に悪影響を与えてはならない」との考えのもと、気候変動や生物多様性の保全に積極的に取り組んでいます。太陽光発電設備による自家発電へ転換を進めており、日本の小名浜工場やドイツ、中国などで導入済みであるほか、国内13拠点の使用電力はトラッキング付きFIT非化石書証を活用した実質的な再生エネルギーへ転換しています。さらに小名浜上場の新管理棟において「Nearly ZEB認証」を取得するなどさまざまな施策を実施しています。
今後は都市ガスの使用削減、車両に関する施策、さらなる再生エネルギーの活用、サプライヤーエンゲージメントによるスコープ3排出削減を目指します。
生物多様性分野では、2024年度TNFD提言に基づき、サプライチェーン全体の自然環境リスク評価を実施。2050年環境リスク最小化や、2030年ネイチャーポジティブ実現に向けて取り組んでいます。
地域ごとの課題に対応したグローバル戦略のもと、サプライヤーとの連携強化を通じて環境負荷のさらなる低減を目指しています。

社会課題に対する取り組み

第一三共の企業活動の根幹には、「Patient Centricity(患者起点)」の考え方が息づいています。研究・開発・営業・生産といったバリューチェーン全体にわたり、すべての社員が患者さんの視点に立つことを重視する企業文化として定着しています。
たとえば、研究開発段階では、現在の医療では治療が困難な患者さんやそのご家族から直接声を聞く取り組みを行い、その声を起点に研究テーマや開発方針を見直す活動が行われています。営業活動においても、単なる売上指標ではなく、どれだけの患者さんの余命を延ばせたか、生活の質を改善できたかといったアウトカムベースの指標に価値を置く姿勢が根づいてきています。
また、生産部門では、患者さんとの距離が最も遠いとされる生産現場にこそ「Patient Centricity」を届けるため、海外現場の社員が実際に患者さんの声を日本の工場に伝えるイニシアチブも実施されています。これにより、自身の業務が誰のためにあるのかを全社員が実感し、モチベーションの向上や企業文化の醸成にもつながっています。
このように、部署や国境を越えて一貫したマインドセットを共有し、すべての業務が「患者さんのため」にあるという共通認識のもとで活動を続けていることが、第一三共の強みであり、社会課題への実効的な貢献にもつながっています。

ガバナンス課題に対する取組の事例

第一三共では、ガバナンスを企業価値向上の基盤と捉え、透明性の高い経営と適切な情報開示に注力しています。法定開示を確実に行うとともに、ESG投資家をはじめとする多様なステークホルダーの関心に応える形で、統合的かつ戦略的な情報発信を進めています。
具体的には、バリューレポートやサステナビリティレポート、有価証券報告書、コーポレートガバナンス報告書といった各種媒体を通じて、ESGと財務を統合した情報を開示しています。また、コーポレートウェブサイト上でも適宜、最新情報を発信し、タイムリーな情報提供をおこなっています。
投資家との対話の場としては、2021年度から継続的にサステナビリティに関する意見交換会を実施し、ESG課題に関する説明と質疑応答を通じて、双方向のコミュニケーションを図っています。とりわけ、人的資本に対する関心が高まる中で、創薬企業としての人材戦略やパイプライン形成との関係性、未財務資本から財務価値への転換ストーリーといった観点での対話が重視されています。
第一三共株式会社
会社概要
本社住所 東京都中央区日本橋本町三丁目5番1号
代表者名 代表取締役社長兼CEO 奥澤宏幸
創業 2005年9月28日
社員数 約19,000人(第一三共グループ、2024年3月31日時点)
業界名 医薬品
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