持続可能な成長を続けるために ESGの土台をつくり流れを変えていく「マクビープラネット」
株式会社Macbee Planet 代表取締役社長 千葉 知裕
株式会社Macbee Planet
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2024年

コンサルタント数

84

2024年

一人当たり売上総利益

94

百万円

2024年

CO2排出量/売上高

0.0028

t-CO2/百万円

2024年

取締役数

7

人(社外取締役数 4人)

2024年

従業員総数の女性割合

42.8

%

2024年

有給休暇消化率

67.9

%

インタビュー

唯一無二の「LTVマーケティング」

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(LTVマーケティングとは|事業計画及び成長可能性に関する事項2023年7月24日|マクビープラネット)
御社は「LTV*マーケティング」という唯一無二のマーケティング手法を提唱し、創業以来右肩上がりの成長を遂げておられます。まずは事業の概要について簡単にお聞かせください。【* LTV(Life Time Value)とは:ユーザー(消費者)が生涯を通じて企業にもたらす利益のことを指し、1人のユーザー獲得にかけることができる費用を算出するための指標】
世の中にはさまざまな広告代理店やマーケティング会社がありますが、その多くはあくまでもアフィリエイトやリスティングの代理店です。
当社はクライアント企業のROIを高めて、費用対効果をしっかり上げていくことが最も大事な指標だと考えています。その考えに基づいたマーケティング手法を「LTVマーケティング」と定義しています。
当社がクライアント企業を支援してLTVを最大化するには、もちろんWeb代理店の立ち位置も必要ですし、テクノロジーを開発する部隊も必要なので、事業の発展に必要な人材を集めながら、LTVマーケティングの本質は何なのかということを考えながら事業を行っています。
LTVマーケティングの観点で事業やサービスをデザインされてる会社は珍しいのでしょうか?
LTVマーケティング特化型で事業を行っている会社はそれほど多くありません。もちろん事業者側はLTVを重視しながらクライアントを支援していると思いますが、大半のマーケティング支援会社や広告代理店はLTVの観点からの支援を十分にやりきれないのだと思います。
2020年頃からのコロナ禍の影響で徐々にオフライン広告からオンライン広告に切り替わっていきました。その中でLTVの重要さが再認識されてきました。今は広告代理店やマーケティング支援会社がLTVってやっぱり大事だよねと言い始めている状況ですね。

たとえ難しくてもESG情報を開示する理由

御社の事業領域はサステナビリティ関連の課題が事業活動に直結しづらい分野かと思います。その中でも御社は自社サイト内にサステナビリティページを設け、ESG関連指標の積極的な開示を行っていらっしゃいます。どのようなお考えで積極的な開示を行っているのかお聞かせください。
業界的に事業活動とサステナビリティを結び付けづらいというのはおっしゃるとおりだと思います。だからこそ、サステナビリティ情報を出さないままでい続けると、サステナビリティを考えてない企業だと捉えられてしまいかねない可能性があります。
まだ十分に取組ができてない中でも、部分的にできていることもありますので、そこは積極的に開示していく方針です。そうすることで当社自体も少しずつESGを意識するようになって、会社としても個人としてもESGを意識した経営ができるようになっていくのではないかと考えています。こうした理由で情報開示に踏み切りました。
ESG情報開示にあたっては経営陣の方々や現場の各部署と調整しながら、いろいろなデータを収集したり、プロセスをつくったりする必要があります。御社はとてもスピーディーに開示をされていらっしゃいますが、どのように社内メンバーを巻き込んで開示を進められてきたのでしょうか?コミュニケーションで工夫されているポイント等あれば教えてください。
サステナビリティ担当者が率先して取りまとめしてくれたので、スムーズに開示することができました。最初の開示においては様々な部署を巻き込んで進めたというより、数人のメンバーで作り上げた形です。
まずは一度、開示をはじめることが重要だと考えています。開示した情報を従業員や社外の方々が見ることで、マクビープラネットはESGに関してしっかりやろうとしてるんだなと思ってもらうことが大切ではないでしょうか。最初に土台をつくれば、その1年後、2年後にもう一度ESGについて考え直そうという流れが生まれるきっかけにもなると思います。
なので最初のESG情報開示は少人数で行いました。今後はもっといろいろな人たちを巻き込みながらやっていこうと思います。
ESG情報開示をされて投資家さんなどから反応・反響はありましたか?
ESGに限定した話ではなくIR全般になりますが、当社は積極的に情報開示してますねという評価をよくいただきます。
社内や採用時の反応はいかがですか?
実は社内でもIRページや招集通知を読み込んでるメンバーがいるんですよ。なので社内については今後ジワジワと反応が出てくると思います。
採用の場面では反応がありますね。ESG情報のページを見たんですけど今後はどんな取組をしていくんですか、というような質問をいただくことがあります。
ESG情報開示をするにあたってベンチマークされた会社はありますか?
開示にあたって相談した会社はありますが、ベンチマークにした会社というのはありません。どんなデータやコンテンツがあればいいのかなどを聞きながら進めています。いろいろな中小企業を見てきましたが、まだ開示に至っていない企業がほとんどです。プライム上場企業を見ても業種によって開示ポイントが異なりますので、当社は割とオリジナルでやっています。
マテリアリティの特定の議論や目標設定などはまだできていなくて、今はまず出せる情報を出している状況です。
今後はどのような方向性でESG情報開示を行っていかれるのでしょうか?
明確には定めていませんが、今後グロース市場からプライム市場に上がることを見据えるなかで、より積極的に開示していこう、深堀りしていこうという考えを持っています。開示内容をより充実させていくこと、開示項目を増やすことなどを協議している段階です。
ESGデータの収集にあたっては、さまざまなデータが社内のいろいろな部署に散らばっているためご苦労もあるかと思います。データ収集方法などに関してより効率化していきたいポイントなどはありますか?
一番大変なのは男女間の賃金比ですね。有価証券報告書を作るときはトータルの期初・期末の平均と総人件費で算出できますが、さらに内容を充実させようとなると、役職別・部門別などに分けてデータを出す必要があります。いざそのようなデータを出したくても、これまで役職別・部門別などの視点でデータ管理をしていなかったので、人事部門のデータ収集は手間かかりました。
CO2排出量の算出については、電力会社など各種エネルギー契約先からいただく明細書の数値をもとに(エネルギーごとの)係数をかけて算出しています。それほど面倒な作業ではありませんが、もっと簡単に月々の使用量などをピックアップできるようになるとといいですね。

人的資本:即戦力の中途採用から新卒者の育成重視へ

2023年3月期決算から人的資本の開示義務が始まりました。御社の事業特性上、人材の確保・育成はとても重要だと思いますが、人的資本の観点で重要視されていることはありますか?
人材の確保育成が当社の事業の継続、更なる成長を考える上で必要不可欠だというのはご認識の通りです。その中で重要視しているポイントは育成の仕組みを整えていくことです。
現在は即戦力になる中途採用を中心に人員構成していますが、それだけだとサステナブルな成長は難しいと思っています。徐々に中途採用中心から新卒採用へシフトしていきながら、育成の仕組みを整えていくことが非常に重要だと考えています。
これまで人を育てるという視点があまりなかったので高いハードルになると思いますが、育成にしっかり目を向けて新卒人材を育てていくフェーズが訪れていると思います。
御社は人的資本関連の指標のうち、どのような指標を重要視されていますか?
離職率については適正な数値があるのではないかと感じています。2~3%程度の離職率だと組織の停滞が生まれてしまいますが、30%だと高すぎます。当社の場合は退職理由が独立であるケースが割と多いので、一定の離職率がありながらも、そういう流れを作って(独立することを前向きにとらえる流れをつくって)いきながら、離職率の適正水準を見極めていくべきではないかと考えています。
男女の賃金比に関しては、役員・部長クラスの管理職ポストが限られている中で、どうしていくのがいいのか検討しています。女性管理職が少ないことが話題になりますが、当社はグレードごとの賃金差を調べるなどしながら進めています。
退職後に独立される方が多い傾向というのは、業界的な特性なのでしょうか。または御社ならではの特徴なのでしょうか?
当社は「夢・目標を共に実現し続ける組織に」という企業理念を掲げて事業展開しています。最初から「将来は独立したい」という思いを持って入社してくる人も結構いて、有言実行で独立するケースも多々あります。入社時から独立という夢・目標を持っていて、それを実現する人が多いというのは、当社ならではの特徴だと思います。一方でWebマーケティング業界は独立する人が多い傾向もあります。なので当社ならではのものと業界特性的なものの掛け合わせで、独立傾向が高いのだと思います。
(企業理念・ビジョン|マクビープラネットhttps://macbee-planet.com/corporate/mvv/)
御社は戦略上MAを重要視されていて、実際にいくつかのM&Aを実現されています。M&Aの際に相手先の人材に関することで難しさを感じることや方針などがあればお聞かせください。
基本的にはそれぞれの組織を尊重したM&Aをしていく方針です。すべてをマクビープラネット色に染めていくのではなく、これまで作り上げた各組織の色を生かしながら、それぞれが成長していくイメージです。
必要な部分に関しては共通功をはかりながらやっていく考えです。それぞれの組織が生み出した人的資本の考え方や人材育成の仕組みの個性を生かしながらやっていくとなると、すべてを画一的にするのはなかなかむずかしいと思っています。

代表交代とガバナンス体制の見直し

創業者の小嶋様が東証マザーズ上場後の2021年12月に代表取締役社長から取締役に異動されるとともに、千葉様が代表取締役社長に就任されました。2015年8月の会社設立、2020年3月の上場というタイミングに鑑みると、非常にスピーディーな社長交代に見えますが、投資家からの反応はいかがでしたか?
当社は創業以来右肩上がりで成長してきましたが、代表交代のタイミングが第1クォーターで証券特需が起きていて、第2クォーターで巡航速度に戻るというタイミングでした。なので一時的に(企業価値が)下がり成長の限界にみえた側面はあると思っています。投資家の方の中には創業者が成長の限界を感じて辞めたのではないかと捉える方もいらっしゃったと思います。
代表交代の背景に私と小島の不仲説も浮上していましたが、実際のところは今後グループ経営を推進していく上で適した人選としての代表交代だったので、それをひたすら言い続けています。今は一定のご理解をいただいていると思います。
2023年11月1日に持株会社化と監査等委員会設置会社への移行を予定されていらっしゃいます。ガバナンス体制の変更を行った背景と狙いについてお聞かせください。
代表就任時にグループ経営体制の強化を掲げました。それほど(グループ)会社が多くない中でホールディングス化するのは手間だけ増えそうだと思っていたので、タイミングを見ていました。2023年3月に株式会社ネットマーケティングがグループインするタイミングで、ネットマーケティングのほうからも、持ち株会社化してほしいという要望がありました。
マクビープラネットとネットマーケティング社はかつてのライバル会社であり、これからもライバル関係です。両社が同じ立ち位置で健全に戦っていくためにも、グループ経営を推進しながら、それぞれの事業が切磋琢磨しながら成長するスタイルが当社グループの経営に必要だと考えました。
持ち株会社化するにあたりガバナンスも変わるので、そのタイミングに合わせて監査等委員、指名報酬委員会の設置を発表しました。徐々にガバナンスを変えていくというよりは、いいタイミングなので一気に変えて、マクビープラネットグループとしてのあるべきガバナンス体制を考える時期だと考えました。
また将来的なプライム市場への移行も見据え、先手を打つ形でガバナンス体制の移行を行ったというのもひとつの理由です。
最後にステークホルダーのみなさまにひとことメッセージをお願いします。
今後もしっかり成長し続けていくことで、資本市場でパフォーマンスを発揮していくというのが基本的な方針です。株価だけではなく、マクビープラネットの戦略もご覧いただいた上で、皆さまにご支援いただければと思っています。

企業概要・ESG/SDGs取組概要

何をやっている会社か

インターネット広告市場の課題を解決する次世代マーケティングパートナーとして、独自のLTVマーケティングを提唱し、成果報酬型で顧客の事業収益向上に貢献しています。膨大なデータの取得・解析を通じてLTV(Life Time Value 顧客生涯価値)を予測し、自社開発のテクノロジーを以てLTVの最大化を図ることで、広告費用効果を最適化しています。

ESG/SDGsをどう経営に取り込んでいるか

持続的な事業成長を考えるうえで、人材の確保と育成を重視しております。上場するまでは小規模組織ということもあり育成する視点をあまり持ち合わせておりませんでしたが、今後も成長し続けるうえでは、即戦力となる中途採用だけではなく育成の仕組みを整え、新卒の採用と育成が大事だと認識しています。そのために働く環境の整備や、働きがいを感じる人事制度の構築・運用に注力しており、従業員からのフィードバックも参考にしながら随時ブラッシュアップしています。
株式会社Macbee Planet
会社概要
本社住所 東京都渋谷区渋谷3-11-11
代表者名 千葉 知裕
創業 2015年8月25日
社員数 159人(2024年4月現在)
業界名 サービス業
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